交通事故の治療のためにかかった交通費
1 タクシー代
基本的には、交通事故によるケガの症状などによりタクシー利用が相当とされる場合のみタクシー代が認定されることになります。
症状からして、公共交通機関を利用しても合理的に通院できる場合には、タクシー代は認定されない可能性が高いです。
どのような場合かといいますと、たとえば、特に歩行や乗降に支障がない症状で、バス、電車を利用すれば20分で通院できる医療機関であるにもかかわらず、タクシーで20分かけて通院した場合には、タクシー代は認定されない可能性が高いです。
一方で、病院への通院は公共交通機関を利用しようとすれば自宅から1時間かけて徒歩で駅まで出る必要があり、タクシー利用はやむを得なかったとして、タクシーによる通院費235万円余りを認めた裁判例(大阪地判平成7年3月22日)などもあります。
いずれにしても、個別、具体的な事情とその証拠の有無によって、タクシー代が認定されるかは異なりますので、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
2 公共交通機関(電車、バスなど)
公共交通機関(電車、バスなど)は、基本的には、実費が支払われます。
もっとも、合理的な方法と経路ではない場合には、否定される可能性があるため、注意が必要です。
たとえば、自宅の最寄りのバス停から病院の最寄りのバス停が一本で行くことができるにもかかわらず、あえて、回り道でバスを何本も乗り継ぐなどした場合には、過剰な部分のバス代が否定される可能性があります。
3 自家用車(ガソリン代)
交通事故のケガの治療で通院する際に、自家用車を使用される方もいらっしゃるかと思います。
自家用車で通院される場合の通院交通費は、ガソリン代および駐車場代を請求することができます。
たとえば、自宅から病院に自家用車で通院していた場合には、基本的には、1キロあたり15円のガソリン代が認定されますし、必要な駐車場代も認められます。
高速道路の料金代も必要かつ相当なものであれば認められます。
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