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相続人が揉めない遺言を作成するためのポイント

  • 文責:所長 弁護士 鳥光翼
  • 最終更新日:2024年3月1日

1 遺言があっても相続人が揉めないとは限らない

ご自身がいつかお亡くなりになった際、相続人が遺産分割について争うことを予防するための手段として、遺言が用いられることはよくあります。

しかし、遺言があるからといって、必ずしも相続人が揉めないとは限りません。

遺言には、遺言特有の、争いの種となり得る要素があるためです。

典型的なものとして、①遺留分の侵害、②遺言の効力、③曖昧な記載が挙げられます。

以下、これらを回避するポイントについて、説明します。

2 遺留分を侵害しないようにする

遺言を用いると、誰にどの財産を相続または遺贈させるかを、ある程度自由に決めることができます。

一方、配偶者、直系卑属、直系尊属など、一定の相続人に最低限保障されている遺産割合である、遺留分というものがあります。

もし、ある相続人が遺留分以下の財産しか取得できない内容の遺言となっている場合、遺留分を侵害された相続人は、侵害された分を請求することができてしまいます。

遺留分の割合についてはこちらをご覧ください。

遺産の中に不動産など、評価の仕方によって評価額が異なる財産が含まれていると、遺留分侵害額の計算にあたって、評価額が争われ、紛争が複雑化・長期化することも考えられます。

遺言を作成する際には、遺言者ご自身が保有している財産とその評価額をしっかり確認し、遺留分の侵害が起こらないように配分することが大切です。

3 遺言の効力を争われないようにする

主に自筆証書遺言を作成する際には、遺言の効力に注意を払う必要があります。

具体的には、形式的な要件と、遺言能力に留意します。

遺言は、法律により形式が厳格に定められています。

自筆証書遺言であれば、原則としてすべて遺言者が自筆で作成すること、日付を記載すること、遺言者の署名押印をすることが必要です。

これらの形式的な要件を欠いた遺言は無効となる可能性があり、争いのもとになり得ます。

また、遺言を作成した時点で、遺言者が認知症を患われていたなど、行為能力が低下していた場合には、遺言が無効であることを争う余地が発生します。

特に、ある程度高齢になってから遺言を作成する場合には、遺言作成日に近い日付で、認知能力等に問題がなかった旨を示せるような資料も用意しておくとよいでしょう。

公正証書遺言を作成する場合には、公証人が遺言書を作成し、遺言書の面前で遺言の内容の確認を行いますので、形式的な要件および遺言能力に関する問題が発生する可能性を大きく下げることができます。

4 曖昧な記載をしないようにする

相続または遺贈させる財産の記載が曖昧で特定性に欠けていたり、相続または遺贈させる相手を特定できなかったりすると、遺言そのものが成立しなかったり、不動産の登記や銀行預金の解約・払戻しなどの相続手続きが進められなくなる可能性が生じます。

このような場合、結局改めて遺産分割協議を行わなければならなくなります。

その結果、遺言の内容と同一の内容で遺産分割協議を進められるとは限りませんし、相続人以外の方へ遺産を与えることもできなくなってしまいます。

遺言を作成するうえでは、曖昧な記載を避け、明確に記載することが大切です。

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