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民事再生と個人再生の違い

  • 文責:所長 弁護士 鳥光翼
  • 最終更新日:2024年9月25日

1 民事再生と個人再生の違いの概要

個人再生は民事再生手続のなかのひとつとして位置づけられ、一定の要件を満たす場合のみ利用可能な手続きです。

個人再生にも小規模個人再生と給与所得者再生というものがありますが、本稿では小規模個人再生を個人再生と呼ぶことにします。

そして、小規模個人再生と給与所得者再生以外の原則的な民事再生手続きを、民事再生と呼ぶことにします。

民事再生と個人再生には、手続きが利用できる債務総額の上限の有無、申立てにかかる費用、再生経過が認可されるまでの手続きに違いがあります。

以下、それぞれについて説明します。

2 手続きが利用できる債務総額の上限の有無

個人再生は、住宅ローンを除く総債務額が5000万円以下でなければ利用できません。

一般的には、個人の方で5000万円以上もの借入れをすることは稀ですので、個人の方の申立てにおいては、多くの場合この要件に当てはまらないということはありません。

ただし、個人事業を行っており、金融機関等からの借入金のほか、仕入れ等の多額の債務がある場合には、個人の方でも個人再生の要件を満たすことができないということも考えられます。

民事再生には、債務額の上限はないので、法人を含め、債務が5000万円を超える場合には民事再生を利用することになります。

3 申立てにかかる費用

個人再生の場合、裁判所へ申し立てる際の予納金は1~2万円程度です。

個人再生委員が選任される場合には、さらに15~20万円程度の予納金が必要になります。

民事再生の場合、必ず監督委員が選任されます。

債務者の債務額によって予納金は変わりますが、100~1000万円程度の予納金が必要になります。

また、弁護士に申し立ての代理を依頼する場合も、民事再生の方が複雑であることから、個人再生よりも手数料等は高額になります。

4 生経過が認可されるまでの手続き

⑴ 監督委員または個人再生委員の選任

民事再生は、多額の借り入れが可能である法人が申立てをすることも多いため、債権者などの関係者が多くなり、手続きが複雑化する傾向にあります。

そのため、民事再生の場合には、監督委員という別の弁護士が選任されます。

そして、監督委員の調査や、指示のもと、手続きが進められます。

個人再生の場合、事案の内容や裁判所の運用方針にもよりますが、個人再生委員が選任されないケースもあります。

⑵ 債権者の同意

民事再生と個人再生については、再生計画の認可について、一定範囲以上の債権者の同意が必要となります。

個人再生では、手続きの簡略化の観点から、意見を出さなかった債権者は同意したものとされます。

これに対し、民事再生では、意見を出さなかった債権者は同意しなかったものとされます。

民事再生の場合、手続きに積極的な同意をしてもらえるよう、事前の協議・交渉等が極めて重要になります。

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