本人に高次脳機能障害の自覚がないときの注意点
1 交通事故による高次脳機能障害
事故の際の衝撃により、脳が損傷(ダメージ)を受けたことが原因で、注意力・記憶力が低下したり、感情のコントロールができなくなったりすることがあります。
これを高次脳機能障害といいます。
高次脳機能障害では、脳が受けたダメージの大きさや、損傷した箇所により、次に記載する様々な症状が発生するとされています。
2 高次脳機能障害の症状
以下のようなものが指摘されています。
- ⑴ 失語(言葉をうまく話すことができない)
- ⑵ 失行(手足を動かせるが、衣服を着るなどの目的に応じた動作をすることができない)
- ⑶ 脳疲労(脳が疲れやすく、ミスをしたりイライラしやすくなるなど)
- ⑷ 病識の低下(自身の障害に気付くことができない)
- ⑸ 注意障害(集中することができない、同時に複数のことができない)
- ⑹ 遂行機能障害(段取りが悪い、臨機応変に対応できない)
- ⑺ 社会的行動障害(些細なことでイライラする、こだわりが強くなる)
- ⑻ 記憶障害(新しいことが覚えられない、思い出すことができない)
3 症状への対応
上記の症状のうち、失語は、周囲の方にとって比較的気付きやすい症状ですが、これ以外の症状ですと、症状程度が軽い場合、ご本人のみならず、周囲の方にとっても気付きにくい場合があります。
症状を見逃さないためには、交通事故で頭部を損傷した場合、上記のような症状が現れる可能性、あるいは事故前とは異なる言動が現れる可能性があることを認識した上で、事故後の被害者の様子を、周囲の方が注意深く見守る必要があります。
そして、症状が現れたと思われた場合には、医療機関にご相談ください。
4 受診について
高次脳機能障害の診察・対応については、専門の医師・医療機関による対応が必要となることが多いです。
かかりつけの医療機関がある場合は、こちらに相談し、専門の医療機関を相談してもらうことをご検討ください。
また、各都道府県の医療機関における相談窓口についてのホームページもあります。
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