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高次脳機能障害で寝たきりになってしまったら

  • 文責:所長 弁護士 鳥光翼
  • 最終更新日:2024年6月28日

1 寝たきりになってしまった場合の後遺障害等級

高次脳機能障害で寝たきりになってしまった場合、常に介護が必要となっている状態であるため、別表1級1号が認定されることになります。

2 1級の自賠責保険金

別表1の1級の自賠責保険金は満額で4000万円です。

これは、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を合わせた金額です。

3 1級の後遺障害慰謝料

後遺障害等級1級の裁判基準の慰謝料は2800万円(赤本)です。

4 1級の後遺障害逸失利益

逸失利益の計算式は、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数です。

寝たきりの方の場合、労働能力喪失率は100%となります。

たとえば、基礎収入が600万円で、労働能力喪失期間が20年(14.8775)の場合、

600万円×100%×14.8775=8926万5000円

と算定されます。

5 成年後見人の選任が必要(成人の場合)

寝たきりになってしまった場合には、本人は意思表示ができないため、代わりに本人の利益を考えて意思表示をしてくれる者が必要となってきます。

この者は、成年後見人といいます。

未成年であれば、親が親権者として、未成年の代わりに意思表示して問題ないのですが、成人の場合には、家族が勝手に本人に代わって意思表示をすることはできません。

必ず青年後見人を選任する必要があります。

成年後見人を選任すると、手続きが面倒だったり、毎年の報告が必要となるため、成年後見人はいらない、自分たち家族がしっかりするから大丈夫だと、成年後見人をたてずに弁護士に事件を依頼しようとする方もいますが、法的には、寝たきりの本人の意思表示をできる方としか委任契約を結べないため、ご家族のご要望を承ることはいたしかねます。

もし、この成年後見の手続きなしに、特別に処理しますよという弁護士がいたら、その弁護士は要注意です。

また、寝たきりの被害者とは、成年後見人なしには保険会社も示談してくれないのが通常です。

成年後見の手続きは、弁護士はもちろん、家庭裁判所でも教えてくれますので、そこまで心配する必要もないでしょう。

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