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遷延性意識障害になった場合の損害賠償金

  • 文責:所長 弁護士 鳥光翼
  • 最終更新日:2024年3月21日

1 遷延性意識障害に伴い発生することが見込まれる損害

遷延性意識障害とは、いわゆる植物状態と呼ばれる状態です。

脳死と異なり、脳幹の機能は維持されています。

自力移動や自力摂食が不可能であり、労働能力が完全に失われた状態となります。

自動車賠償責任保険における後遺障害等級としては「神経系統の機能又は精神に著しい傷害を残し、常に介護を要するもの」として、別表第1の1級1号に該当するものとされています。

遷延性意識障害となることにより、以下の損害が発生することが見込まれます。

  1. ⑴ 後遺障害に対する慰謝料
  2. ⑵ 将来にわたっての介護費用
  3. ⑶ 労働能力が失われたことによる損害である逸失利益

以下で詳しくご説明いたします。

2 後遺障害に対する慰謝料

遷延性意識障害は、人としての活動が全くできない状態となることから、最も重い後遺障害ということができます。

金額については、具体的な事情をもとに判断されますが、3000万円の慰謝料を認めた裁判例があります。

また、被害者とのコミュニケーションが全くできなくなることを考慮して、被害者本人のほかに、近親者自身(被害者の両親など)の慰謝料として300万円を認めた裁判例があります。

3 将来にわたっての介護費用

将来見込まれる介護費用(実費相当額)または近親者自身が介護に当たる場合の費用(日額1万円程度)とされることが多いようです。

ただし、将来分をまとめて支払ってもらう場合には、中間利息控除といって、将来分を先取りすることによる利得分(年3%の割合)を控除した金額となります。

費用が支払われる期間は、症状固定日(事故後、治療を継続してもこれ以上の改善は見込まれないとされた日)から平均余命に基づく期間とされることが多いです。

若年者の場合、その期間が長くなることから、費用も増加することになります。

4 逸失利益

逸失利益は事故時の収入または平均賃金(未就労の若年者が後遺障害となった場合)に基づき算定されます。

将来の介護費用と同じく、将来分の賠償金を一括して受け取る場合は、中間利息控除がされます。

未就労の若年者を除き、事故前に収入を得ていたことが前提となりますので、事故前に就労していなかった高齢者などは、逸失利益についての賠償の対象外となります。

被害者が主婦の場合は、女子平均賃金に基づいて算定されます。

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