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相続人と連絡が取れない場合はどうすればよいか

  • 文責:所長 弁護士 鳥光翼
  • 最終更新日:2025年7月30日

1 相続手続を行うためには、相続人全員と連絡が取れることが原則必要

ある人が亡くなり、その人(被相続人)の相続手続を行う場合には、被相続人が遺言書を作成していたような場合を除いては、原則、被相続人の相続人となる人全員と話し合いを行い、合意をする必要があります。

そして、当然、話合いを行うためには、相手方の連絡先を知る必要があります。

ただし、相続が発生したときに相続人同士が疎遠になっている、あるいは、一度も話したことがないということもありえます。

そのような場合には、相続人と連絡が取れないということもよくあります。

そこで、連絡が取れなかった相続人がいる場合、どのような対応をすればよいかについて、以下に代表的な方法を説明したいと思います。

2 連絡先を確認する

被相続人の相続開始までの間、長い間連絡をとっていないなどで、連絡先が変更になっている、あるいは、一度も会ったことがなく、そもそも住所等の連絡先が分からないといった場合があります。

そのような場合には、まず、相手方の住所等を確認する必要があります。

連絡がつかない相続人と共通の知り合いがいれば、その人に確認するといった方法が有効です。

また、公的な書類を確認するといった方法も有効です。

例えば、相続手続を行ううえで、金融機関等に被相続人の戸籍関係書類を提出するように求められるため、相続人は、市区町村役場などで、被相続人の戸籍やその相続人の戸籍を集めることになります。

その際に、戸籍の附票を追加で取得することで、その人の現在の公的な住所地を調べることができます。

一方で、公的な記録に過ぎないので、その記録の変更手続きを行っていない場合は、調査できないというデメリットはあります。

3 連絡の主体を変えてみる

連絡先が分かり、手紙や電話をしてみたが無視されるということがときどきありえます。

相続は、親族が亡くなるという、単に法的な手続きだけでなく感情的な障害があることが少なくありません。

そのため、「●●から連絡があったけど、無視しよう」という風に、連絡が取れないという場合があります。

そのような場合には、主体を変えることが有効です。

その連絡が取れない相続人と共通の知人に連絡をとってもらうとか、専門家に依頼し、連絡をとってもらうなどです。

特に、弁護士に依頼をして、弁護士事務所の名前入りの封筒で連絡が来た場合には、大抵の場合無視されることはありません。

そのため、過去の確執等から連絡がとれない、あるいは、連絡しにくいといった事情がある場合には、一度相談されるといいでしょう。

4 不在者財産管理人を選任する

戸籍の附票等で住所を調べ、主体者を変えるなどして、連絡を試みたとしても連絡がつかない場合、その公的な住所において、その相続人が住んでいないと考えられます。

そのような場合に、相続財産はその不在となっている人の財産となりますので、「不在者財産管理人」を付けることで、その人と遺産分割協議を行うことが考えられます。

不在者財産管理人とは、行方附枚になっている人の財産を適切に管理する人のことで、利害関係人等の申立てにより、家庭裁判所が選任します。

不在者財産管理人は、単に不在者の財産を管理するだけでなく、家庭裁判所の許可があれば、不在者に代わり遺産分割協議を行うこともできます。

参考リンク:裁判所・不在者財産管理人選任

そのため、相続人と連絡が取れない場合は、不在者財産管理人の選任の手続と遺産分割協議を行うための許可を裁判所からえることで、相続人と連絡がとれずとも、遺産分割協議を行い、相続手続きをすすめることができます。

5 失踪宣告の利用

また、今回の相続手続のためにその相続人の所在を調査する前から、連絡が長期にわたり取れない場合は、「失踪宣告」制度の利用も有効です。

失踪宣告とは、所在が不明となって7年以上その生死が不明となっている、船舶の沈没や震災などの死亡の原因となる危難に遭遇してその危難が去って1年以上生死不明となっている等の場合に、家庭裁判所に申立てを行うことができる制度です。

この宣告が裁判所より出されるとその人は死亡扱いとなるため、相続手続きのためにその人と連絡を取る必要はなくなります。

参考リンク:裁判所・失踪宣告

ただし、その失踪宣告を受けた相続人に子がいる場合は、その子が代わりに相続人(代襲相続人)となりますので、その人に連絡を取る必要があります。

6 裁判所の「遺産分割審判」「調停に代わる審判」の利用

一方で、居住していることが明らかだが、単に返信等をしないため、連絡が取れない場合は、上記3、4の制度は利用できません。

そのような場合は、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てを行う必要があります。

参考リンク:裁判所・遺産分割調停

遺産分割調停の申立てを行うと、裁判所から調停の日程等を知らせる郵便がその相続人に届き、調停手続に参加するように知らせる通知書等が送られます。

弁護士等からの通知を無視する人も裁判所からの通知には対応するという人もいますし、仮に、この通知を無視して、調停による話合いができず、調停が不成立になったとしても、問題ありません。

そのような場合は、審判手続に移行し、その内容で遺産分割がなされることになります。

また、審判手続の他にも条件を満たせば、調停手続において、「調停に代わる審判」という審判手続とほぼ同様の解決を行うことも可能です。

審判手続にはそれなりに、時間を要しますので、「調停に代わる審判」手続による解決を図ることをおすすめいたします。

「調停に代わる審判」の要件は、複雑、かつ準備や調査に手間がかかりますので、調停手続に入る前に一度弁護士にご相談されるとお手続きがよりスムーズになるかと思います。

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