グレーゾーン金利とは
1 グレーゾーン金利の概要
グレーゾーン金利は、かつて存在し、過払い金発生の原因となった金利のことです。具体的には、利息制限法が上限として定めている金利を超えてはいるが、出資法で罰則が定められている上限金利未満であることから、法に反しているが事実上罰せられることがなかった金利のことをいいます。
現在は存在しません。
以下、グレーゾーン金利の詳しい説明と、過払い金との関係について説明します。
2 グレーゾーン金利
利息制限法の上限利率は、例えば元本が100万円以上の場合年15%であり、これを超えた部分は無効とされます。
もっとも、貸金業法という法律において、利息制限法に定める上限金利を超えていても、一定の条件を満たせば有効な利息の債務の弁済とみなすと定めていました。
これがいわゆる「みなし弁済」と呼ばれるものです。
一方で出資法においては、年29.2%を超える利息の契約をしたときは、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると定めていました。
つまり、利息制限法上の上限利息を超えていても、貸金業法上のみなし弁済の要件を満たしていれば、出資法上刑事罰を科されない29.2%が上限金利となり、利息制限法の上限利息の超過部分の返還を請求することはできないとされていました。
3 グレーゾーン金利と過払い金との関係
最高裁平成18年1月13日判決によって、多くの貸金業者から借入れた場合における、みなし弁済の適用が認められないこととなりました。
具体的には、みなし弁済の条件の一つである「債務者が利息として任意に支払った」とは、債務者が、事実上にせよ強制を受けて利息の制限額を超える額の金銭の支払をした場合には、制限超過部分を自己の自由な意思によって支払ったものということはできず、貸金業法43条1項の規定の適用要件を欠くというべきであると判示され、事実上、貸金業法43条1項のみなし弁済規定の適用は認められないことになりました。
これにより、利息制限法に定める上限利息を超える利息を支払っていた場合、上限利息を超過した部分が元本の弁済に充当され、過払い金が発生することになりました。